発売11カ月で世界200万部、そのうち4分の1が日本で売れている(2019年12月時点)『FACTFULNESS』。同書は、私たちの世界に関する「勘違い」を「10の本能」に分類している。今回、その10の本能を現代ニュースに絡めて紹介していく。第8回は「分断本能」だ――。(全10回)
▼分断本能
「世界は分断されている」という思い込み

「人は誰しも、さまざまな物事や人々を2つのグループに分けないと気がすまない」とロスリングは指摘する。これが分断本能だ。例えば「金持ち」と「貧乏」、「先進国」と「途上国」といった具合に、人は重なり合わない2つのグループを前提にものを考えたがる。だが多くの場合、多くの人はそのどちらでもない中間部分に位置している。この分断本能を抑えるためには、「大半の人はどこにいるか」という事実を認識すべきだという。

多くの人々がトランプ支持者像を誤解している

ドナルド・トランプ米大統領の支持者というと、低所得・低学歴の白人男性で、自由貿易の犠牲者であり、現状に不満を抱える「嘆かわしい人々」というイメージがすっかり浸透している。リベラルな米国の大学・メディア関係の知識人層がトランプ支持者に前述のようなレッテルを貼ったのか、日本でも多くの人々がトランプ支持者像を誤解してしまっている。

ドナルド・トランプ支持を持つプロトランプポスター
写真=iStock.com/csfotoimages
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しかし、このイメージはトランプ支持者像とデータ上では必ずしも合致するものではない。「トランプ支持者=低所得・低学歴の白人男性」というデータは存在しない。むしろ同大統領を支える人々は実は多様な人々であることをご存じだろうか。