発売11カ月で世界200万部、そのうち4分の1が日本で売れている(2019年12月時点)『FACTFULNESS』。同書は、私たちの世界に関する「勘違い」を「10の本能」に分類している。今回、その10の本能を現代ニュースに絡めて紹介していく。第9回は「パターン化本能」だ――。(全10回)
▼パターン化本能
「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み

「人間はいつも、何も考えずに物事をパターン化し、それをすべてに当てはめてしまう」。これがパターン化本能だ。誰もが頭の中のイメージに基づいて人類の大半をステレオタイプに押し込めようとする。だがパターン化は間違いを生み出しやすい。自分の分類は間違っているかもしれないと疑ったほうがいい。同じ集団の中にある違いや、違う集団の間にある違いと共通項を探し、好奇心を持ってその分類自体が正しいのか問い直すべきだ。
ボトックスコラーゲンデトックス広告コンセプト。プロフィールサイドビュー彼女の彼女の魅力的な波状髪の女性の肖像画ベージュの背景の上に孤立した純粋で明確なクリーンで完璧
写真=iStock.com/Deagreez
※写真はイメージです

「ニーハオ」と言われる日本人

世界で新型コロナウイルスが流行し始めた際、欧米では中国人に対する差別や攻撃が強まっているという報道がたびたび聞かれた。中には、同じアジア人である日本人も、中国人と間違われて攻撃されることがあったという。

どうして彼らは日本人を中国人と勘違いしてしまうのか。日本人からすると、中国人との顔立ちはなんとなく違うと感じることができる。しかし、ほかの地域の人が見分けるのは難しいようである。アジア人といえば、みんな一重まぶたで吊り上がった目である、というステレオタイプが存在する。

ヨーロッパに留学経験がある筆者も、街を歩くと「おい、ニーハオ!」とからかわれることは何度もあった。海外に行けば、日本人も中国人も韓国人も、みんなひとくくりにされるのだ。そして大体は幸か不幸か中国人と決めつけられる。アジアで最も人口が多いからだろう。

アジア人をひとくくりにする欧米人。これは物事を何も考えずにステレオタイプに押し込めようとする、「パターン化本能」に該当する。