流通 正直言って煮え湯を何度も呑まされている。頭も切れるし、コミュニケーション能力も抜群だと思って東大生を採用したが、入社後に急に元気がなくなったのでどうしたのかと思っていたらすぐに辞めた。上司に聞いたところでは、プライドが高く、周囲の社員と接していて何でこんな連中と一緒に仕事をしなければいけないのかと思っていた節がある。だから今では有名大学ほど採用面接では慎重にチェックするように言っている。
電機 有名大学の学生ほど企業ブランド意識が強いね。第1、第2志望の企業に落ちて、第3志望のうちに入社してもまだ諦めきれないんだ。そのうえ仕事が辛いとなるともう我慢できないで、第二新卒でブランド企業を目指してしまう。
化学 でもそんなに甘くはない。辞めますという社員にどこに行くのと聞くと、松下電器とかNECとか大手の名前を出すけど、よく聞くと系列の子会社なんだ。彼らにとって価値があるのはブランドだけ。後で後悔することになるのも知らないでね。
流通 そうはいっても有名大学の学生が有名企業に入りやすいという構図は今も変わっていない。東一早慶の学生は結果的に有名企業に入っている。企業としても大学に入るまでの努力は評価すべきだと思うね。それをまったく考慮しないという学歴不問採用は絶対に嘘だよ。
電機 世間では学歴不問採用が流行っているが、30分、1時間の面接を2~3回やるだけではわからないよ。もちろん、今までのように東一早慶だけに偏りはしないが、学歴が大きな目安であることは間違いないし、企業から見たら安心感がある。大学に入るまでに努力して勉強したわけだし、しかもちゃんと卒業できるという人は最低限の安心感がある。ある程度採用する人間を揃えていこうと考えると、慶應義塾大のような大票田が極端に減るということは普通に採用していればまず起こりえない。