過去の経済危機にヒントはないか
5月14日現在、水際対策強化として87の国と地域から日本への入国が拒否の対象(日本からの入国制限措置を取っているのは184の国と地域)となっており、海外との人の移動が制限されている。表のとおり、昨年日本を訪れた上位20市場すべてと、人の行き来が双方向で停止されている。
このような先の見えない展望の中、インバウンドを対象にしてきた観光業やサービス業はどう向き合うべきか。約100年前のスペイン風邪に新型コロナウイルス対策を学ぶように、リーマンショックや東日本大震災といった観光業の危機を乗り越えた経験と知恵にヒントはないか。箱根で35年にわたり外国人旅行者向けに「富士箱根ゲストハウス」を運営する高橋正美氏に話を伺った(取材日2020年4月23日)。
延べ17万人のお客を迎えた箱根のゲストハウスは今…
「富士箱根ゲストハウス」は1984年、箱根仙石原に開業。それ以前から国際交流の仕事に携わってきた高橋氏が、外国人を自宅に泊めるホームステイを行って人気を呼び、ついには旅館業免許を取得して本業になった。以来35年間に75カ国から迎えたゲストは17万人に上る。世界的な旅のクチコミサイト「トリップアドバイザー」では約400件の外国語レビューを集め、旅行者から一貫して高評価を受けている施設に贈られる「エクセレンス認証」も毎年連続して授与されている。
観光庁のVISIT JAPAN大使も務め、著書『富士箱根ゲストハウスの外国人宿泊客はなぜリピーターになるのか?』(あさ出版)で「親しい友人をもてなすようにゲストを迎える」「サービスは控えめに、ホスピタリティを前面に」とその人気の秘密を明かす高橋氏は、72歳になった今も現役で日々訪れる外国人客をもてなしてきた。つい先月までは……。