日本の景気は「コロナショック」で急速に冷え込みつつある。どうやって活路を見いだせばいいのか。まちづくりの専門家である木下斉氏は「今後、家にいる時間が長くなることで、あらゆる商売のオンライン化が急速に進む。地方の中小企業はこの変化をチャンスとして捉えるべきだ」という——。

国内旅行消費額26.1兆円のうち、インバウンドはたった4.5兆円

今や毎日のニュースはコロナショック一色です。これでは気がめいってしまう人も多いのではないでしょうか。ただし、地方にとっては今までになかったチャンスも生まれようとしています。こんなときに明るい話をすると、「のんきに何を言っている」となりがちなので、チャンスを感じている経営者もあまり口にできない空気になっています。しかし、私の周りでもチャンスと感じ、すでに動き出している人たちがいます。

そこで今回のコラムでは、“地方はコロナショックからコロナチャンスを作り出せるか”という前向きな視点で考察していきたいと思います。

ここ数年、地方には観光立国政策に多額の国費が投じられ、さらに観光ビザ発給の規制緩和もあり、うなぎのぼりのインバウンド需要に湧いていました。それがコロナショックによって停止し、地方観光業は干上がってしまったというのが現状です。

しかしながら、令和元年版の観光白書を見れば、国内旅行消費額は日本人観光客によるものが82.7%で、訪日外国人旅行客によるものは17.3%にすぎません。金額にすれば、26兆1000億円の市場のうち、インバウンドは4兆5000億円しかないのです。

さらに、現実問題としてコロナショックが沈静化した後を考えても、コロナショック前のように自由に海外旅行に出られる状態になるには時間を要するかと思います。2017年度に実施された観光庁「旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究」によると、海外旅行における海外消費分の市場規模は2兆8000億円もあります。これらも海外で消費できなければ、国内消費に向かいます。