「業務効率化」から「業務最適化」へ
インプットを減らし、効率的に作業することはもちろん重要です。
しかし、生産性が変わらずインプットを減らしただけでは、アウトプット(成果)は増えません。むしろそのままではアウトプットは減少します。
そのことは、成果の公式を眺めてみれば明らかです。
成果(生産量・付加価値量)/ 労働の投入量 = 労働生産性
未来の働き方は、インプットを減らしながらアウトプットを増やすことが必要です。
この視点から作業の進め方を捉えなおすと、「業務効率化」からさらに一歩踏み込んで、「業務最適化」を心がけることが重要なのです。
では、「業務最適化」とは具体的にどういうことでしょうか。
私は、長らく戦略コンサルタントを務めていますが、戦略の本質は、限られたリソースを使って最大限のアウトプットを生み出すためのオプションを検討し、最適なオプションを選択することにあると考えています。
もっとわかりやすくいえば、「限られた業務時間から得られる成果を最大化するために、仕事・業務の選択と配分を最適化する」ということです。
具体的には、以下の選択と配分を自分の中で最適に決められるようにすることが、短期間で成果を上げるこれからの働き方では重要となります。
・仕事のどの部分に時間をかけ、どの部分には時間をかけないかを決める
・仕事のどの部分は自分で行い、どの部分は人に任せるのかを決める
・仕事のどの部分のアウトプットの質を最大化し、どの部分のアウトプットの質を諦めるかを決める
本当に「要領が良い人」は戦略的
「要領が良い人」といった言い方があります。
この「要領が良い」には、手を抜いているというマイナスの響きが含まれていることがしばしばあります。
しかし、本当に要領の良い人は手を抜いているのではなく、実は戦略的に作業ができている人が極めて多いのです。
要領の良い人は本来責められる対象ではなく、褒められる対象です。
要領良く成果を上げるためには、2つの視点が必要です。
①自分でやることを極力減らす
②質の高い成果を出すために必要なことに集中する
自分にとって不要な業務をそもそもなくしてしまうか他の人に任せて、残った時間を使って短期間に質の高い成果を生み出すことに集中する。これが業務最適化の本質だといえます。
冒頭の働き方のタイプの差は、こうした戦略的な作業量の違いによるところが大きいのです。
ではこの2つの視点から、仕事をただ絞り込み減らすのではなく、戦略的に作業し、業務を最適化するために、どのような働き方をすればよいか、具体的に見てみましょう。