リーマン・ショックでは何が起きたのか

まずはリーマン・ショックが日本の雇用にどんな影響を与えたのかを振り返ってみたい。リーマン・ショックとは2008年9月、アメリカの大手投資銀行「リーマン・ブラザーズ」の破綻に端を発し、連鎖的に広がった世界的な金融危機のことだ。日本経済も打撃を受け、雇用情勢は急速に悪化。雇用を維持できなくなった企業による正社員のリストラや派遣切りが相次ぎ、2009年7月に日本の完全失業率は5.7%(総務省発表・季節調整値)となった。これは過去最悪の水準だという。

リーマン・ショックは金融破綻が契機であったものの、実際に雇用面で大きな影響が出たのは、製造業やサービス業だ。特に社会問題化したのは自動車産業など製造業における大規模な派遣切りである。2008年年末~年明けにかけて、リーマン・ショックの影響で職と住居を失った労働者のために設けられた「年越し派遣村」は大きく注目され、深刻な雇用不安を浮彫りにした。

その後、景気は緩やかに回復し、完全失業率は2013年6月に3.9%に改善。リーマン・ショックの影響が出始める2008年10月の水準となった。2017年3月には2.8%と低い水準になり、新型コロナウイルス流行前の2019年11月には2.2%まで改善されている。

また有効求人倍率は2008年が0.88倍だったのに対し、リーマン・ショック後の2009年に0.47倍と悪化したが、2013年11月に1倍に回復し、2017年にはバブル期のピークだった1.46倍を超え、2019年には1.60倍となっている。

いまだに雇用のミスマッチなどの課題は残っているものの、「100年に一度」と言われたリーマン・ショックの影響による完全失業率と有効求人倍率の悪化は、数字上の回復までにおおよそ5年かかったことになる。

ではコロナ・ショックではどんな影響が出るのだろうか。今回は、リーマン・ショック時に大きな影響を受けた製造業やサービス業に加え宿泊業や建設業などすでに幅広い業界が影響を受けている。総務省によると2020年3月の完全失業率は2.5%で、前月より0.1ポイント悪化。そして厚生労働省が発表した3月の有効求人倍率は1.39倍と前月比0.06ポイント下落。この下げ幅は、バブル崩壊時やリーマン・ショック時と同等の大きなもので、加藤勝信厚生労働大臣が会見で「かなりその(コロナの)影響を受けているのではないかというふうに思われる」と述べるに至った。