スペインでは完全解雇を禁止

コロナ・ショックによる雇用不安は日本だけの話ではない。外国の対策を見てみると、たとえばスペインでは緊急事態宣言下での完全解雇を禁止。そして、経営状況が厳しくなった企業に対しては、従業員の「一時解雇(ERTE/レイオフ)」が認められている。この制度では、一時解雇された従業員は雇用主と雇用関係を維持したまま失業保険を受け取ることができるのだ。そして雇用主には再雇用が義務付けられているという。また、トルコでも4月17日に経済対策のひとつとして3カ月間の解雇禁止が発令された。

さてコロナ禍における日本の雇用対策は、雇用調整助成金の拡充という形で行われている。これは、経済上の理由により、事業の縮小を余儀なくされた事業者に対し、雇用の維持を目的として休業手当の一部を国が助成する制度だ。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月1日~6月末の期間限定で要件の緩和や助成率の引き上げなど特例措置が取られており、4月25日には、さらに休業要請に応じた中小企業で1人も解雇していないなど一定の条件を満たした場合は休業手当の助成率を10割に引き上げるという拡充方針が発表された。

だが雇用調整助成金は手続きが煩雑で、受給できるまでに時間がかかるという課題もある。また、制度を使ったとしても企業に負担が発生するため、「利用しない」または「受給までに体力が持たない企業もあるのではないか」という報道を目にした読者もいらっしゃるだろう。従業員には雇い止めの恐怖がついて回ることになるが、ここで従業員側がコロナ解雇を防ぐために何かできることはないのだろうか? 弁護士に聞いた。