新型コロナウイルスの早期収束に必要とされる「人と人との接触8割減」。しかし不要不急の外出をする人が後を絶たない。コミュニケーションストラテジストの岡本純子氏は、「『3密』『不要不急』という言葉はあいまいで分かりづらい。もっと具体的なルールを決めたほうがいい」という——。
晴れた日の東京を走るバスの乗客たちがマスクを着けている
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GW対策「接触を8割減らす、10のポイント」も効果は期待薄

政府の緊急事態宣言を受けて、引き続き外出自粛が呼びかけられている。都心の繁華街などから人影が消えた一方で、商店街での買い物やビーチでの潮干狩りやサーフィンなどに人が集まっていると報じられている。

感染拡大を抑えるためには、人と人との接触を8割減らすことが必要とされる中で、不要不急の外出をする人が後を絶たないのはなぜか。今回は、行動変容につながるコミュニケーションの方法について考えたい。

短期間に人々の行動を変えるのは容易ではない。特に、新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な「不要不急の外出自粛」や「ソーシャルディスタンシング」は難しい。その理由は大きく分けて5つある。

「不要不急の外出」をする人が後を絶たない5つの理由

【その1】人は「社会とつながる生き物」である

「孤独信奉」の強い日本だが、人は本来、「ソーシャル・アニマル」、群れの中で生きる動物とされ、他の動物同様、孤立することは本来、「死」を意味する。多くの人は何らかの形で人とつながり、コミュニケーションをしたいと考えており、「人恋しさ」は、群れに戻ろうとする本能的生存欲求。その気持ちにあらがうのは容易ではない。

【その2】これまでに起こったことのない事態である

人は有事には、過去に起こった事件と照らし合わせて、その行動を決める。災害やテロ、戦争、不況、さまざまな不幸が人間を襲ったが、今回は、イギリスが第2次大戦時にスローガンとして掲げた「Keep calm and carry on(平静を保ち、普段の生活を続けよ)」といった行動原則も通用しない異常事態。そんな状況に、人の脳は簡単には答えを出せないのだ。ましてや、見えない敵であるだけに、危機感も抱きにくい。

【その3】人には「認知のゆがみ」がある

人は先天的に「自分は大丈夫」「これぐらいならOK」「行動は変えたくない」と考えてしまう傾向がある。これを「認知のゆがみ」という。

代表的なものは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価してしまったりする「正常化バイアス」、また物事を自身にとって都合よく解釈してしまう「楽観バイアス」、さらに大きな変化や未知なるものを避け現状を維持したくなる「現状維持バイアス」である。