危機管理の基本は「最初に厳しく、次第に緩める」
4月13日の衆院決算行政監視委員会で、江田憲司氏(無所属)は、危機管理の基本は最初に厳しい対策を打ち、次第に緩めていくことだと訴えた上で「戦力の逐次投入は一番の失敗の原因だ」と安倍政権を批判した。
「戦力の逐次投入」というと第2次世界大戦でのガダルカナル島の戦いを思い出す人もいるかもしれない。日本軍が連合軍の実相を把握せず、戦力を小出しにすることで甚大な犠牲者を出した戦いだ。江田氏の批判に首肯する人も少なくないことだろう。
朝日新聞社が18、19日に行った電話世論調査では内閣支持率、不支持率とも同じ41%だった。この調査は「一律10万円」が給付されることが決まってから行われたもの。安倍政権は「一律10万円」で支持の回復を狙っていた。実際「一律10万円」は「大いに評価する」「ある程度評価する」を合わせると77%で歓迎されているのだが、政権全体を浮揚する効果は極めて限定的だった。
15日に公開した「とうとう国民に見放され始めた『アベノリスク』の迷走」で紹介した状況は、何ら解決されていないのだ。
緊急事態宣言が7日に出されてから2週間が経過した。感染状況は、オーバーシュート(爆発的患者増)ぎりぎりのところで踏みとどまっているが、その一方で「自粛疲れ」の傾向も見える。そんな中で国民が一体となって感染をピークアウトさせていくためには、安倍氏の国民に対する求心力の回復が不可欠だ。
しかし同調査では「安倍首相は感染拡大の防止に向けて指導力を発揮していると思いますか」との問いに対し「発揮している」と答えた人はわずか33%。「発揮していない」が57%に及んでいるのだ。信頼回復への道は遠い。