ホテルの稼働率、百貨店の売上高は壊滅的
まずはホテル業界。3月の稼働率は30.5%で、とりわけ東京、大阪はともに20%台に低下。リーマン・ショックや東日本大震災後は60%程度だったのに比して格段に落ち込みが激しく、休館や開業延期が相次いでいる。民泊やマンスリーマンション、貸会議室やイベント会場などは言うまでもない。
商業系も壊滅。3月の売上高についてJ.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)は43%減、高島屋は36.2%減、三越伊勢丹ホールディングス(三越伊勢丹)は39.8%減、そごう・西武が31.9%減、エイチ・ツー・オーリテイリング(阪急阪神百貨店)が28.1%減とインバウンド需要がほぼゼロになったことに加え、3月の景気ウオッチャー調査によると、街角景気の現状判断指数(DI)は前月から13.2ポイント下がり14.2となった。08年リーマン・ショックや11年東日本大震災後を下回る。飲食などのテナントを抱えるビルもアウト。
西村康稔経済再生相は13日の参院決算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大による自粛要請に応じた店舗に対し自治体が独自に行う休業補償について、国から地方自治体に配分される臨時交付金は財源に充てられないと答弁するなど、業界は戦々恐々だ。オフィス系には今のところ影響は見られないが、コロナ騒動で急速に進展するリモートワーク化で、オフィス床ニーズには大きな減少圧力がかかる。
新築マンション・一戸建て販売はほぼストップ
住宅系はどうか。まず、新築マンション・一戸建て販売は、ほぼストップといっていい。三井不動産レジデンシャルや住友不動産・三菱地所レジデンスは一部を除いて新築マンションモデルルームなどの販売拠点を閉鎖している。
大手ハウスメーカーの2020年3月の受注速報によると、消費税増税の影響が残るなかで、新型コロナウイルスの影響もあり、戸建住宅を中心として落ち込みが目立ち、大和ハウス工業は戸建住宅受注が20%減、住友林業は30%減、旭化成ホームズ32%減、積水化学工業・ミサワホーム・パナソニックホームズも軒並み2ケタ減と全く振るわないが、4月以降はもっと悪い数字が出るだろう。
足元ではH形鋼など主な建築用鋼材の流通価格が需要不足によって前月比2%下落、前年比では5~10%の減少幅で推移しており、事態が長引けばやがて建築費の下落圧力になりそうだ。清水建設は13日、建設現場において勤務者がコロナ感染したことから7都府県での工事を原則中止すると発表しており、足元ではさらなる需要減が見込まれる。