「そう質問されて、初めて『逃げる』ということが私の選択肢に全くなかったことに気付きました。大変な時には支えてくれる同僚がいます。人手不足で交代の看護師が見つからず居残らなければならない時に、終わるまで待っていて家まで送ってくれる同僚、他の州から応援に駆けつけてくれた看護師。そして影で支えてくれている家族や友人がいるから頑張れるのです」

仕事の前に“自撮り写真”を撮る理由

「看護師というのは、自分を犠牲にしてでも患者の世話をしたいと思う生き物なのかもしれません」彼女はそんな風に言う。

「仕事をしていて心が満たされたり助けられたりもしますし、患者さんや家族の方に感謝することもたくさんあります」

キヨコは最近、毎朝仕事の前にセルフィー(自撮り写真)を撮ることにしている。戦場に乗り込む前に、今日1日頑張るぞ!という気持ちを込めて。時には気分を上げるために同僚とおどけたポーズで写真を撮ることもある。

もう一つは、いつ自分の身に何が起きてもいいように、記録を残しておく目的もあるという。

そんな彼女は「こういうことが日本で決して起こってほしくない」と語る。

「若ければ重症化しないと思っている方も多いと思いますが、私が担当した1番若い患者さんは19歳でした。幸いにも回復しましたが」
「若い時は私もそうでしたが、自分は感染しない、自分1人くらい出かけても大丈夫だろうと思ってしまうものです。でもそれが他の人の命を危険にさらすことになるのです」
「仕事がなくなって収入が減ることを恐れている人も多いと思いますが、今大切なのは生きること。私たちは毎日命と向き合っています。命を落とせば全てが終わってしまう。でも生きていさえすれば何とかなるものなのです」

ゴーグルにマスク、ジャンプスーツに身を包んだセルフィーを撮り終えた彼女は、今日も水を飲む時間すらない12時間シフト態勢で患者に対応している。

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