同じ自治体の住人が感染
ニューヨークなど米国・東部の雰囲気が、3月中旬に入り一変した。猛威を振るう新型コロナウイルスの感染者が右肩上がりで増え、スーパーや量販店にはトイレットペーパーや食料品の「買いだめ」に走る客が殺到。NYエリア近隣各州では外出禁止令が出され、一部の業種を除くすべての人に在宅勤務が義務付けられた。NYの観光名所は軒並み閉鎖され、周辺各州を含めてレストランやバー、カフェでの店内飲食を禁じた。学校はすべて休校となり、昼夜問わず街はゴーストタウンと化している。東海岸はもとより、全米が緊迫した空気に包まれている。
3月1日にNY州で初めてとなる感染者が確認されたのを皮切りに、NY州のお隣、筆者が暮らすニュージャージー(NJ)州でも、初の患者が4日夜に確認、公表された。この感染者は、まさに私の自宅がある自治体の住人。翌日朝から「町はこれから、封鎖されるのではないか」「子どもの学校は休みになるのか」などのやり取りがあちこちで交わされ、私だけでなく、どこか遠い国の出来事と捉えていた周囲の米国人も、にわかにそわそわし始めた。
自宅近くのスーパーは開店直後から人であふれ、カートに山積みの商品を積み上げた客が、レジ前に長蛇の列をつくった。この時点で既に、マスクをはじめ、トイレットペーパーやハンドサニタイザー、消毒液、ティッシュは入手が困難になっていた。とは言え、自治体当局のトップが「通常通りの生活を求めるよう」訴えた動画が配信され、学校の休校も否定したことから、パニックには至らず、ひとまず沈静化したかに見えた。