休校は夏休みまで……先が見えない不安

在米日本人の間にも、終わりがまったく見えない現状生活に不安の声が拡大している。学校の休校が夏休みまで続くとの見方もあり、日本で隔離されることを覚悟しながらも家族を一時帰国させるケースが出始めた。4月の転勤シーズンを控え、新規駐在員の渡米時期が見通せないとの話も聞く。SNS上には、勤務先をレイオフ(解雇)されたとの投稿も目にする。

終息時期が見いだせない状況がこの先も続くようだと、市民のやり場のない怒りやストレスが思わぬ行動として表れることが十分に予想される。その矛先が「ウィルス震源地」とされるアジア系の一員である、米国在住日本人に向かってくることを想定しながら、日々の生活を送ることを余儀なくされることにもなりかねない。

24日未明時点で、NJ州の感染者は2844人、NY州の感染者は21689人で、うち半分以上がNY市在住だ。感染者の広がりはとどまるところを知らず、言い知れぬ恐怖が忍び寄っている。NY市長らが「戦時中」との言葉を繰り返し用いる、この未曽有の事態が、外国人を含めた市民生活に巻き起こしている影響を引き続き注視し、レポートしていく。

小西 一禎(こにし・かずよし)
ジャーナリスト 元米国在住駐夫 元共同通信政治部記者

1972年生まれ。埼玉県行田市出身。慶應義塾大学卒業後、共同通信社に入社。2005年より政治部で首相官邸や自民党、外務省などを担当。17年、妻の米国赴任に伴い会社の休職制度を男性で初めて取得、妻・二児とともに米国に移住。在米中、休職期間満期のため退社。21年、帰国。元コロンビア大東アジア研究所客員研究員。在米時から、駐在員の夫「駐夫」(ちゅうおっと)として、各メディアに多数寄稿。150人超でつくる「世界に広がる駐夫・主夫友の会」代表。専門はキャリア形成やジェンダー、海外生活・育児、政治、団塊ジュニアなど。著書に『妻に稼がれる夫のジレンマ 共働き夫婦の性別役割意識をめぐって』(ちくま新書)、『猪木道 政治家・アントニオ猪木 未来に伝える闘魂の全真実』(河出書房新社)。修士(政策学)。