アカデミズムの世界の当人たちが無自覚なんです
「新しい分断を発見するのがアカデミズムの仕事なんです。たとえば所得格差があって、それを人種別に……と細分化し続けていくと論文ができあがる。それがかえって実社会での分断を進めていることに、アカデミズムの世界の当人たちが無自覚なんです」
頼みもしないのに「あなたは○○系だ、××層だ」などとラベルを貼られ、知らぬ間にその気にさせられ、別のラベルの人といがみ合う。選挙にまで利用される。SNS等々の技術革新がもたらしたこの民主主義の激変を、逆手に取ってしまえと著者は言う。
「個々人のアイデンティティのあり方を細分化し、整理・展示してくれているんだから、そこから『オレはAとBとCを選ぶ』という具合に、自覚的に選べばいい。それが本当の多様性でしょう」
分断そのものは絶対悪ではなかろう。すべてが同質の世界こそ気持ちが悪い。他人に貼られたラベルに引きずられず、自ら選び取ってこそのアイデンティティなのだ。
渡瀬裕哉
パシフィック・アライアンス総研所長
投資家向け米国政治の講師、IT企業創業を経てTokyo Tea Party創設。東国原英夫氏ほか自治体首長らの政策立案などに関わる。
パシフィック・アライアンス総研所長
投資家向け米国政治の講師、IT企業創業を経てTokyo Tea Party創設。東国原英夫氏ほか自治体首長らの政策立案などに関わる。
(撮影=永井 浩)