イノベーションを起こすにはなにが必要なのか。アップルでブランド戦略を担当した河南順一氏は「スティーブ・ジョブズが率いるチームでは、数値では解析したり測定したりできないものをとらえる“霊感”が求められていた。KPIを目標値としていても、イノベーションは起こせない」と説く——。
※本稿は河南順一『Think Disruption アップルで学んだ「破壊的イノベーション」の再現性』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
五感から霊感まで総動員して創造する
破壊的イノベーションを起こす企業では、KPI以上にカルチャーが実行をドライブします。かつて、ピーター・ドラッカーは「カルチャーは戦略をも凌駕がする(Culture eats strategy for breakfast)」と言いました。カルチャーは変革の過程でポジティブに底力を発揮すると、修羅場を乗り切るときには予測された数値目標を超える成果を生み出します。
そもそも自分たちの確立したい本質的価値は何なのか、本来目標としていたあるべき姿に向かって前進しているのかと、原点に立ち返って検証することを怠ってはなりません。形骸化した数値の目標は何の意味もありません。ほとんどの企業では、SMARTモデルを使って目標を設定します。つまり、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Realistic(現実的)、Timely(期限付き)な目標値です。しかし、そういった目標をKPIとする限り、破壊的イノベーションが起きることはないと知るべきです。