“ホットスポット”イタリアに飛び交う良くない噂

世界保健機構(WHO)から「震源地」と称されるほど、欧州では新型コロナウイルスの感染拡大が顕著だ。イタリアではすでに感染者数が3万5000人を超え、スペインではおよそ1万人、ドイツでは1万2000人、フランスでは9000人となっている。彼らは必ずしも発症しておらず、また発症しても重篤化する人々は少ない。

しかし欧州の場合、感染者数に占める死亡者数の割合が高いという特徴があり、それが恐怖心の高まりにつながっているきらいは否めない。発祥地とされる中国でさえ、感染者数8万人に対して死者は約3000人(ただし武漢のみ)であるのに対して、イタリアの場合は感染者数3万5000人に対して死者数は3000人に迫っています。

衛星作業員が新型コロナウイルスの感染防止のため、ごく普通の道を消毒している=2020年3月17日イタリア、ナポリ
写真=ABACA PRESS/時事通信フォト
衛生作業員が新型コロナウイルスの感染防止のため、ごく普通の道を消毒している=2020年3月17日イタリア、ナポリ

統計の信憑性などもあり、単純な比較はできない。とはいえ、数字が持つインパクトは大きく、特にイタリアの状況が非常に深刻であるという印象はぬぐえない。イタリアがホットスポットである理由としてさまざまな仮説のみならず根拠のないうわさも飛び交っており、医学や疫学の専門家による詳細な検証が求められるところだ。

イタリアだけではないが、外出禁止や国境封鎖が実施された関係で、すでに欧州の景気は腰折れ状態となっている。イタリアの場合、2月ごろからヒトとモノが徐々に動かなくなり、3月に入りそれらが完全にストップしてしまった。そのため1~3月期のイタリアの実質GDP(国内総生産)の前期比成長率は記録的なマイナスになることは間違いない。