2013年度の税制改正で、相続税の申告者数は2倍に

「うちの実家は資産家ではないから、相続税の対象となるはずがない」と漠然と考えていたら大間違いだ。

税理士の服部修氏(服部会計事務所)は「『まさか我が家に相続税が……』と考えていたサラリーマン家庭の方々が実際に相続が起こって初めて納税額が出ることを知り、右往左往して“申告難民”になるケースも多々見受けられる」と話す。

郊外の住宅地の日本
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相続財産の分割は納税に関わらず、相続が発生すれば行わなければならない。2013年度の税制改正により、相続税の基礎控除額が「5000万円+1000万円×法定相続人の数」から、「3000万円+600万円×法定相続人の数」に引き下げられた。これにより相続税の申告者数は従来の2倍程度に増加したといわれる。旧制度なら相続税に無縁であった人も、考えなければならなくなったということだ。

「たとえば私が最近相談に乗ったA家では、通帳に200万円ほどしかなかったのに税務署から相続税の申告書や『お尋ね』が郵送されてきたんです」

税理士の目黒雅和氏(撮影=笹井恵理子)
税理士の目黒雅和氏(撮影=笹井恵理子)

と話すのは、目黒雅和氏(目黒雅和税理士事務所)。

「故人の死後半年程度を経過しており、相続税申告まで残り数カ月というタイミングでした。そのご家族は我が家に財産があるという認識は全くなかった。ですが調べてみると、家族も初めて気づくような、塩づけされた株式などの金融資産、畑や土地があちこちに出てきました。結果的には基礎控除3000万円+600万円×法定相続人の数(A家の場合、法定相続人が3人いたため、基礎控除額は4800万円)以下でおさまり、事なきを得ましたが、意外に知らなかった財産というものはあるものです」