就職氷河期は、少子化で受験者数が激減した時代でもありました。大学側は生き残りをかけて、試験日程の増加、地方試験の実施など入試改革を断行。センターを利用する私大も増えました。

さらに、00年以降はAO・推薦入試の枠が増え、07年には私大の一般試験入学者が5割を切ることに。学部再編が進み、“カタカナ学部”が増えたのもこのころからです。

2021年の入試はどう変わる?

大学入試の傾向は、経済に連動しますが、影響が大きかったのは08年のリーマンショックです。その後、第二次就職氷河期となり、就活サポートに力を入れる大学が増えていきました。就職への不安は学部選びにも影響します。リーマンショック後は、資格が取れる理系学部に人気が集まり、リケジョブームが始まりました。

しかし、14年に就職率が上向いたのをきっかけに、15年には文系人気が復活。その後も好調な就職率を受け、学部人気は文高理低で落ち着いています。

主な大学入試の動き

16年より、大都市圏の私大の定員厳格化が始まりました。これは大都市圏への学生集中を避けるのが狙いだと言われています。それを受け、大都市圏の人気私大はAO・推薦入試枠を増やし、一般入試での合格者を絞るように。その結果、私大の一般入試は難化傾向にあります。こういった流れのなかで、最近は浪人を避けるため、チャレンジ校ではなく、ランクを落として安全校を受ける傾向が強まっています。

しかし一方で、仮面浪人が増加傾向にあるのです。19年の過年度卒業生のセンター受験者は10万人。そのうち浪人生は5万人。つまり残りの5万人はほぼどこかの大学に在籍している学生だと言えるでしょう。

近年は、私大の9割がセンターを実施しています。手軽に受けられるセンターが、他大学への再チャレンジをしやすくしていると言えます。

さて、センターに代わって21年からスタートする大学入学共通テスト(以下、共通テスト)。19年末に、入試改革の目玉とされた英語の外部試験活用・記述式問題導入の延期が発表されました。つまり、21年の共通テストはほぼセンターと変わらない内容になるでしょう。数年はその状態が続くと思われます。

少子化により、国公立大・私大ともに統廃合が進んでいます。大学はキャンパスを郊外から都心に移す、施設・設備を整備する、キャリアセンターを充実させるなど生き残りに必死です。

しかし、大切なのは教育改革。立命館アジア太平洋大や国際教養大など、新しいコンセプトで人気を集めている大学もあります。今後は、常識にとらわれない大胆な改革が求められるでしょう。

(構成=松本 史 写真=PIXTA)
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