Androidのスマホなら、何度誤ったパスワードを入力しても問題ありません。しかし、iPhoneの場合は10回繰り返すと初期化されてしまう設定になっているケースがある。ロックを解除しようと思いつくままにパスワードを入力していたら、端末内のデータがすべて消去されてしまうことがあるのです。

実は、通信キャリアや端末のメーカーに持っていっても、原則としてパスワードは解除してくれません。キャリアは通信環境を提供しているだけ、メーカーは端末を供給しているだけ、というスタンス。「紙のメモ帳に書かれた文字が読めない」と文具メーカーや文具店に問い合わせても対応してくれないのと同様、「端末内のデータを引き出したい」という希望には応えてくれないのです。ロック解除に挑戦する場合は、スマホの契約書や手帳などからパスワード候補を絞り込んでからにしましょう。

iOS端末のロックを解除する流れ

すぐにスマホを解約するのもお勧めできません

通信料がかかるからと、亡くなってすぐにスマホを解約するのもお勧めできません。8000万人以上の国内ユーザーがいるLINEは電話番号に紐づけられているため、解約すると利用制限がかかってしまう。さらに、その番号が別の人に割り振られると、端末上のLINEのデータは初期化されて読めなくなり、故人がLINE上でのみ繋がっていた方たちへの連絡手段は断たれてしまいます。

スマホを解約すれば、LINEアカウントと紐づけられた決済サービス・LINE Payは停止されます。同サービスでは最大100万円をチャージできますが、チャージ残高を確認しないままアカウントが停止されれば、出金手続きに支障をきたす可能性もあります。

SNSの多くが利用規約に「一身専属」を謳っています。サービスの利用権は利用者個人に帰属し、相続できない仕様なのです。厳密に言えば、故人のSNSを遺族が利用するだけで不正アクセス禁止法違反に問われる可能性がある。フェイスブックのように、家族や友人が故人のページに手をつける“追悼アカウント”という保護機能を設けているものもありますが、これも「相続」はできません。

このように、デジタル遺品は多岐にわたるので、早めの“仕分け”が重要となります。サブスクなどの有料サービスは、解約を後回しにするほど出費がかさみます。一方で、SNSは放置しておくと乗っ取りのリスクも生じます。

即席のスクラッチカードができあがり

残される家族のことを考えて、最低限“スマホのスペアキー”を用意しておくことをお勧めします。厚めの用紙にロック解除用のパスワードを記して、その上に修正テープを2度貼り。すると、即席のスクラッチカードができあがります。パスワードを見られてもすぐわかるので、生前にスマホを覗き見されるリスクも抑制できる。銀行の預金口座や実印などと一緒にスペアキーを残しておけば、遺族によるデジタル遺品の整理がスムーズになるでしょう。

(構成=高橋盛男、池垣 完)
【関連記事】
1億貯めた女性が実践している小さな習慣5つ
大変です!住宅ローン、変動金利の人は「今すぐ」固定金利に変えろ
"退職金でデビュー"する人の残念な老後
最悪です。あなたのSNS、退会しても画像が消えていません
セカンドライフを謳歌しすぎて「貯蓄がみるみる減る地獄」に陥った老夫婦の末路