さて、初七日が終わっても、まだ気は抜けない。故人が世帯主だった場合、取り急ぎ提出しなければならないのが3つ目の「世帯主変更届」の手続き。相続問題に詳しい司法書士の鈴木敏弘さんは、「亡くなってから14日以内に、市区町村役所に提出することになっています。届け出を怠ると住民基本台帳法違反となり、5万円以下の過料が課せられることもあります」と警告する。

世帯主変更届を役所に提出するのなら、4つ目の故人の健康保険の資格喪失手続きも同時に行おう。そうすれば、窓口は違うにしても、役所に足を運ぶ手間が省ける。故人が国民健康保険に加入していた場合、死亡してからやはり14日以内の届け出が必要で、「国民健康保険資格喪失届」を提出するとともに、健康保険証を返納する。故人が75歳以上で後期高齢者医療制度に加入していた場合も、返納手続きは同様だ。

そして故人が年金を受け取っていた場合は、5つ目の公的年金の受給停止手続きも急いで行わなければならない。「死亡してから、国民年金なら14日以内、厚生年金なら10日以内の届け出が原則です。そのまま受給を続けていると、遺族による不正受給と見なされ、詐欺罪に問われることもあります」と鈴木さんは注意を促す。

具体的には、年金事務所や年金事務所から委託を受けた「街角の年金相談センター」に、故人の年金手帳や死亡届などの必要書類を持っていき、「年金受給権者死亡届」を提出する。「ただし、混雑していることが多いので、訪問前に予約を取ったほうがいいでしょう。自宅から遠い場合、日本年金機構が運営する『ねんきんダイヤル』に電話で相談すれば、郵送でも手続きができます」と曽根さんはいう。

年金事務所か相談センターに出向くのなら、他の手続きもまとめて済ませる。そこで6つ目に必ずチェックしたいのが未支給年金の有無。年金は年6回、偶数月の15日に、その前々月・前月の2カ月分が支給される。「支給されるのは受給者が死亡した月の分までで、3月に死亡した場合、4月にもらえる予定だった2・3月分の年金を、受給者の配偶者や子どもなどが代わりに受け取れます」と曽根さんは話す。

相続税の申告は死亡後10カ月以内

故人が一人暮らしだった場合、利用していた電気やガス、水道、電話などの公共料金を止める7つ目の一連の手続きも忘れずに。NHKの受信契約をしていたり、クレジットカードの会費を支払っていたりしていたケースも同様だ。「故人の自宅に送られてくる請求書などを確認し、会社の窓口に問い合わせたうえで手続きをするといいでしょう。解約するのなら四十九日も過ぎ、家の整理が一段落した頃が目安です」と曽根さんはいう。故人が世帯主で同居する家族がいる場合は、契約者の名義変更の手続きを行う。