大臣の真摯な姿に23万件の「いいね!」
帰台者の隔離施設への搬送・収容などすべてが完了した2月4日の夜、陳衛生福利部長が会見を開いた。同日午前1時から3時まで空港の格納庫で検疫に立ち会い、その後隔離施設への搬送にも同行するなど、連日の激務でほぼ24時間眠っていない状態での会見である。
帰台者のうち1人の感染が確認されたことについて、陳部長はこう述べた。「皆さんは、この知らせを聞いて落胆されたでしょう。しかし、今回私たちが彼らを連れて帰ってくる重要な目的は、医療環境の良くない武漢から病人を連れ帰ることであり、貴重な生命を救うことであります。今回、チャーター機に陽性患者がいたことは望んだことではありませんでしたが、逆にこれで彼の命を救うことができると受け止め、私たち医療界はできる限り努力いたします」。話す途中、陳部長は嗚咽して言葉を詰まらせた。
発表を隣の執行長に譲り、陳部長は数回涙を拭った。陳部長の涙のシーンは「部長、泣かないで」とトップニュースで伝えられ、翌日の各紙新聞の1面も飾った。衛生福利部のフェイスブックページには、陳大臣の涙の会見を見た人々からの23万件以上の「いいね!」や、多くの応援・賛同のメッセージが送られている。
チャーター便第2便をめぐる中国とのせめぎ合い
現在台湾と中国の間で、第2便以降のチャーター便の話し合いが行われている。第1便に陽性患者が乗っていたことをふまえ、台湾側としては今度こそ台湾の飛行機で、医療チーム12人を乗せるなど機内感染を防ぐ万全の態勢で臨みたい。だが中国側は政治的な理由で、使用機材は中国の航空会社のものでと断固主張している。「台湾はあくまで中国の一部である」ということを誇示したいようだ。
陳部長は2月13日午後の記者会見で、「台湾は最善の方法で、武漢地区の台湾人の帰国を希望している。しかも、この121人は健康上最も優先させるべきリストだ。私たちは、人道的立場で台湾人の安全な帰国を要望しているにすぎない。中国は、昔からのいろいろな理由や思惑で、私たちの計画や要望を拒絶するべきではない」と強い口調で述べた。だが、いまだ第2便のめどは立っていない。