「ローン返済は年収の25%が上限」セオリーを無視
2007年から2008年にかけて起きた世界金融危機の発端になったのは、アメリカにおけるいわゆる「サブプライムローン」であるということは、広く知られている事実です。
サブプライムローンとは、信用度の低い方に貸し出された住宅ローンのことです。本来、住宅ローンを組むには収入が足りない、または収入が不安定な方にも住宅ローンを貸し出し、それがことごとく貸し倒れていったことが、問題の発端になりました。
もともと住宅ローンというのは、アメリカでも破綻することが極めて少ない貸し出し債権でした。なぜなら、かつては一般的には収入の20〜25パーセントを上限とした返済金額で組むものだったからです。これはいわば住宅ローンで組む際の「常識」だったようです。
しかし、いつしかこの上限が取り払われてしまい、過大な返済率でローンを組ませるようになったのです。法律で決まっているわけではないにせよ、上限20〜25パーセントという返済率を厳守していればサブプライムローン問題も起こらず、世界中を巻き込んだ、リーマンショックも起こらなかったのです。日本も同じです。
「最近、住宅ローンを払えなくなる顧客が多くなってきた」
20〜25パーセントという返済率は、かつては日本においても守るべきものと言われてきました。しかし、現在の住宅販売の現場を見ていると、この上限をゆうに超えてしまっているようです。
今後日本版・サブプライムローン問題が起きないと誰が言えるでしょうか?
そして、もしも日本版・サブプライムローン問題が現実に起きるようなことがありますと、債務者である住宅購入者と、債権者である金融機関、双方ともに甚大な被害を受けることになります。
ある銀行に勤める友人が、「最近、住宅ローンを払えなくなる顧客が多くなってきた」と忠告してくれました。これほど金利が低いのにどうしてなのかと尋ねると、「子どもの塾代や、私立の学費など、当初より支出がかさんでくると、とたんにローンの支払いが滞るようになる。要するに、返済率が高いんだよ」と。
私が、「どれくらいの返済率ならリスクが無いと思う?」と聞いたら、「銀行はそれ以上の融資を認めているけれども、やはり20パーセントだろうな」と答えてくれました。
さらに、「焦げついたローン債権はどうするのか?」と聞くと、「やはり支払いが6カ月以上滞ったら、法的な手段で粛々と対応するしかない」とのことでした。
くり返しますが、必ずしも「借りることのできる金額が、長期にわたって返せる金額ではない」という事実を覚えておいてください。