組織委員会の支出を支える「スポンサー」企業

大会組織委員会が支出する6000億円については、スポンサー料収入が最大の「財源」になっている。

4段階あるスポンサーのカテゴリーのうち最上位の「ワールドワイドオリンピックパートナー」は国際オリンピック委員会(IOC)と直接契約しており、1業種1社に限られている。契約料は高額でトヨタ自動車は10年で2000億円の契約金を支払ったと言われている。このカテゴリーには14社が加わっており、日本企業では、トヨタと並んでブリヂストンやパナソニックが名を連ねている。

次のカテゴリーは、日本オリンピック委員会(JOC)と契約し、日本国内でのみオリンピックのスポンサーと名乗ることができる「東京2020オリンピックゴールドパートナー」。これには国内企業15社が名を連ねる。スポンサー料は4年契約で100億円程度とみられている。通常、オリンピックの企業スポンサーは「1業種1社」が常識だが、今回の東京オリンピックでは、国内スポンサーに限って「1業種1社」の枠組みを外した。みずほ銀行と三井住友銀行、NECと富士通などの同業種が並んでスポンサーになった。横並び意識の強い日本ならではの「商法」だった。

前回の東京オリンピック後に訪れた「40年不況」

組織委員会の6300億円の収入予算のうち、チケットの売り上げが900億円、ライセンス収入が140億円、IOC負担金が850億円などとなっている。IOCの負担金の原資は、IOCに直接入るスポンサーからの収入やテレビ放映権料だ。IOCは東京大会で過去最高の3倍に当たる30億ドル(約3300億円)超のスポンサー料を日本国内の企業から集めたと公表している。IOCとしてはビジネスとして成功が約束された大会ということだろう。

オリンピックはかつて国の威信をかけて行う国際大会という色彩が強く、巨額の国家予算が投じられた。その結果、大会後に深刻な不況に見舞われるケースが頻発した。前回の1964年(昭和39年)の東京オリンピックでも、その後「40年不況」と呼ばれる景気悪化に見舞われ、山一証券は事実上破綻して日銀特融を受け、山陽特殊製鋼などが倒産した。

過剰な投資を行えば、そのツケが回ってくるのは当然である。その反省から昨今のオリンピックはお金をかけずにコンパクトに済ませるようになった。日本はその国際的な流れを無視し、巨額の資金をつぎ込んでしまったわけだ。

そうでなくてもその反動が大会後の日本を襲うことが懸念されるところに、新型コロナウイルスの蔓延である。消費増税もあり国内消費が冷え込んでいる中で、オリンピック関連のインバウンド消費に期待が集まっていたが、万が一そのアテが外れることになった場合、不況に直面した前回東京大会の轍を踏むことになりかねない。

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