バブル崩壊以降、日本は30年間デフレが続いた。しかし、日本は少子高齢化で人口が減少局面に入っている。これから労働力の不足は深刻になっていくだろう。人材の奪い合いになって人件費が高騰すると、物価上昇につながる。また、災害がインフレを引き起こすかもしれない。2019年は台風被害が多く発生したが、より広範囲に被害を及ぼす可能性があるのは南海トラフ地震だ。多くの家が倒壊すれば、建築資材は大幅に値上がりする。輸入が急増し円安になる。
デフレに逆戻りしたとしても困ることはない。住宅ローンの返済負担は、多少厳しくなるかもしれないが、退職金の価値は上がるから老後は楽になる。インフレにこそ備えるべきだ。
▼「ドル安円高」、家計のためには具体的に何をすべきか
資産防衛、最強は「物価連動国債」
為替相場の先行きにかかわらず、資産防衛のための投資を行い、インフレに備えることが重要だ。インフレになると、同じ金額で購入できるモノは少なくなる。資産をすべて預金で持っていると価値が目減りしてしまうためだ。
最適なのは物価連動国債。発行後に物価が上昇すれば、上昇率に応じて償還額が増える仕組みだ。仮に物価が下がったとしても、元金は保証される。問題は購入金額。現在は1000万円単位だから簡単に手は出せないだろうが、退職金を利用して購入する方法はあるだろう。
株式や外貨を持つ方法もある。株式はインフレに強い資産として知られている。物価が上がれば、企業の売り上げや利益も上がり株価が上昇するのだ。
外貨を持つのは、インフレ時には円安になるから。たとえば日本の物価が米国の10倍になれば、米国で買い物をしたほうが有利になる。円売り・ドル買いが進むから円安になる。円安になってからでは遅いが、今のうちにドル資産を持っておくと効果は大きい。
外貨といっても高金利通貨は為替の値動きが激しすぎるためお勧めできない。やはり世界の基軸通貨である米ドルを保有すべきだろう。ただし、米ドル預金などでは、米国がインフレになったときに価値が目減りしてしまうので、実際には米国株、あるいは米国株を対象としたETFや投資信託に投資するといいだろう。
個人向け国債の変動10年を購入する方法もある。市場金利に合わせて利率が変わるもので、金利が上がれば受け取る利子が増える。インフレになれば金利が上昇するから、ある程度はインフレに備えることができる。購入単位も1万円以上、1万円単位と手軽。発行後1年以上経過すればいつでも中途換金が可能で、元本が保証されるのもメリットといえる。