わが子のためを思って行動しているのに……

保育園時代は比較的よく似た境遇のお母さんたちばかりだったから、それほど強く意識せずに済んだけれど、小学校になると保育園上がりのお子さん、幼稚園上がりのお子さんが混じり合います。園によって文化も違いますし、専業主婦の方の中には、特に子育てに熱心な様子を見せる人もいます。

その様子に戸惑って「私が仕事をしているから、この子をしっかり見てあげることができない。こんな状態で、この子の力を伸ばしてあげられるのかしら……」と、モヤモヤした気持ちになるお母さんもいらっしゃるようです。

一方、専業主婦のお母さんには別の悩みがあるようです。子育てが生活の中心となっているため、「私がこの子をしっかり育てなければ!」と過度に力が入ってしまう面があるのです。

「小さいときからピアノをやっておくと脳にいいらしい」「これからは英語とプログラミングは必須だから、早いうちからやらせておいたほうがいい」と聞けば、あれもこれもやらせたくなり、気がつくと、毎日家事と子どもの習い事の送り迎えだけで1日が終わってしまう。

でも、相手は子どもなので、準備に時間がかかったり、「行きたくな~い」とグズられたりと、スムーズにいかないことだらけ。そして「早くしなさい!」と大声を上げる日々。

どちらもわが子を愛し、わが子のためを思って行動しているのに、うまくいっていない……。そして、思うのです。「子育てって大変だな」と。

放課後の過ごし方が、昔とは変わってしまった

では、なぜ今、お母さんたちはこんなに忙しいのでしょうか?

ここでみなさんの子ども時代をちょっと振り返ってみてください。みなさんが小学生の低学年だったとき、みなさんのお母さんはここまで忙しかったでしょうか?

当時はまだ働く女性が少なく、専業主婦のお母さんが多かったのではないかと思います。そういうご家庭では、学校から帰ってくると、お母さんがおやつを用意して待っていてくれたかもしれません。

でも、そのあとは子ども同士で遊ぶ約束をしていたから公園へ(約束をしなくても公園に行けば誰かがいる)。そして、夕食の時間になるギリギリまで遊んでいませんでしたか? 習い事をしていても、せいぜい一つ二つで、それだって子ども同士で行っていましたよね?

そもそも、当時は中学受験が今ほどメジャーではありませんでした。塾通いをしている子もごく一部でしたし、入試に必要な学習量も今と比べればはるかに少しで済みました。受験家庭だとしても、親が子どもにつきっきりなんてシーンは珍しかったのです。

あのころ、世間からも親はそこまで子どもにベッタリを求められていなかったのです。