地方自治体の「国頼み」が増している
そろそろ総務省が音頭を取って全国一律のサービスを自治体に求めるやり方は見直すべきではないか。
第1次安倍内閣の頃にさかんに言われた「三位一体の改革」、すなわち「国庫補助負担金の廃止・縮減」と「税財源の地方移譲」、そして「地方交付税の見直し」を一体的に行うことの重要性が言われなくなって久しい。その間に地方自治体の「国頼み」は増し、財政的に自立しようという意欲はついえている。何せ全国で1765ある地方自治体のうち、地方交付税交付金をもらっていない「不交付団体」はわずかに86なのだ。
自治体の自立を促すために、税源を大胆に移譲し、地方交付税を大幅に縮減すれば、住民はおのずから行政サービスを選択せざるを得なくなる。行政サービスとして何が必要なのか、税金を負担してでも何を守るべきなのか。自分たちで負担とサービスのバランスを考えなければ、早晩、自治体はもたなくなるだろう。
公務員人件費の「調節弁」として機能してきた非正規公務員問題は、地方自治体のあり方を根本から問い直す大きなきっかけになっている。