「偏見」は自分から打ち破っていく

――小林さんは著作のなかでも、自身のセンシティブな体験を真っ直ぐに打ち明けています。自分自身について語るのが怖いと思うことはありませんか?

【小林】そうですね……。もし批判が来るとしたら、それは私の言葉が足りなかったと思うしかないです。私の努力が足りないとか、考え方の幅が狭いと言う人がいても、社会にはさまざまな考え方があるのだから仕方がない。10人のうち1人にでもわかってもらえれば十分です。やっぱり、私をいじめていた人には私のことが理解できないと思うので。それはそういうものだと思っています。

――自分のことを積極的に開示するようになったきっかけはありますか。

【小林】自分が精神障害者になってしまったことがすごくショックだったんですよ。精神障害者手帳を取ったのは生きやすくなるためではありましたが、やっぱり公的な障害者になったという事実はかなりつらかった。自分で自分に対して「障害者」という偏見を持ってしまったんだと思います。「だったら自分から偏見を突破しよう」と、どんどん打ち明けることにしました。

自分のつらい体験を話すと、友だちも誘われるようにつらい体験を話してくれますからね。そういうのがどんどん言いやすい土壌にして、人と人が「弱さ」で人と人がつながれるようになるのが、すごくいいんじゃないかなと思いますね。

――人と人が弱さでつながれる世界。

「弱さ」というのはどんどん開示していったほうが、社会が優しくなってくると思うので。だって、長く生きていたら1回や2回は死ぬほどしんどいときってあるじゃないですか。成功談しか話さない人より、弱さを言える人のほうが、人に優しくできるんじゃないかなと思います。

撮影=プレジデントオンライン編集部
今を苦しんでいる10代に向けて、「今いる世界がすべてじゃない」というメッセージを送ってくれた
(聞き手・構成=いつか床子)
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