地方銀行が「かつてない業績の悪化」を記録したワケ

日銀は金融緩和策の一環として、2016年1月からマイナス金利政策を採用している。しかし景気にはさしたる効能がなかった反面、地銀を中心に金融機関の収益が大幅に悪化している。

報道によれば、全国103行の19年9月中間決算では、銀行収益の柱である資金利益が4年連続で減少、5つの銀行が純損益で赤字に転落するなど、かつてない業績の悪化を記録した模様だ。

他方で、同様の問題点に苛まれている欧州では、マイナス金利政策を見直す機運が高まっている。欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ前総裁は9月の政策理事会で、預金金利(金融機関がECBに預金をする際に適用される金利)を年▲0.40%から▲0.50%に引き下げた。その際、ECBは金融機関の収益に配慮するため、マイナス金利が適用される対象の資金に制限を設けた。

写真=AFP/時事通信フォト
欧州中央銀行事会のメンバーで、イタリア中銀のイグナシオ・ビスコ総裁。「マイナス金利政策はほとんど効果がない」という見解を示した。福岡で今年6月に開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議にて。

ECB理事会のメンバーであるイタリア中銀のビスコ総裁は12月初旬、独紙ハンデルスブラットとのインタビューで、マイナス金利政策はほとんど効果がないという見解を示した。

11月にECBの新総裁へ就任したクリスティーヌ・ラガルド氏もまた、デビュー戦となる12月の理事会後の会見の際に、マイナス金利政策の副作用について言及した。

ユーロとの間で固定相場制度を導入しているデンマークは、ECBの追加利下げを受けて、政策金利の一つである譲渡性預金の金利を0.10%引き下げ、年▲0.75%にした。対称的に、変動相場制を採用しているスウェーデン中銀(リクスバンク)は12月19日の会合で政策金利を▲0.25%からゼロに引き上げ、マイナス金利政策を解除した。