リーマンショック後の深刻な相談
こんにちは、家計コンサルタントの八ツ井慶子です。
いまちょっと気になる家計に関するテーマを取り上げてみたいと思います。
それは、“家計防衛時代”に入るのではないか、です。
2008年9月、米国の投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破たんしたことに端を発し、世界同時株安が引き起こり、リーマンショックといわれるほど世界にまたがる大規模な金融危機が起こりました。
その余波は実体経済にまで及び、企業倒産、大規模なリストラ、収入減、資産の暴落、将来への不安増幅等、さまざまな形で私たちの生活に多大なる影響を及ぼしました。
当時のご相談ではとても深刻なケースも見受けられました。
家計相談は「景気に反比例」と俗にいわれ、世の中の景気が悪くなると、家計相談が増える傾向があるとされていました。ところが、リーマンショックの後は相談件数もグッと減り、通常のレベルを超えた景気悪化であることを感じました。
当時痛感したのは、会社員よりも自営業の方々は本当に深刻だな、ということです。売り上げが減り、貯蓄を取り崩し、家を売却し、体を壊し……、とまさに負の連鎖でした。
「ようやく気持ちを切り替えて、相談に来ました」といわれたときには、本当にいたたまれない気持ちとありがたい気持ちが入り混じり、自分に何ができるか、とにかくご相談者と一緒に考えようと必死だったのを覚えています。
もちろん会社員の方々がたいへんではなかったということではありません。ボーナスが減り、資産運用していた方は貯蓄額が減り、ライフプランを再検討せざるをえないケースもありました。
リーマンショック以降、顕著な傾向としては、将来の収入予測がグッと厳しくなったことです。
家計相談では、現状把握をするとともに、将来予測も加えながら、「いま」何ができるかを考えていきます。そこで、将来の収支予測が必須になるわけですが、リーマンショックの前と後では、顕著にご相談者の意識が変わったように思いました。
当時ほどではないにしても、いまもその傾向は根強くある気がします。