長期の存続には“体力”が必要

今、世界の自動車業界が“100年に一度”と言われるほど、急激かつ大きな変革期を迎えている。

具体的には、ガソリンエンジン車からハイブリットカー、さらには電気自動車へ。また情報通信技術を使ったコネクテッドカー、自動運転車などの変化が猛スピードで進んでいる。自動車を所有せず、必要に応じて“シェア”することを選ぶ人も増えている。

写真=時事通信フォト
今年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したトヨタ自動車のスポーツ用多目的車(SUV)「RAV4」=2019年12月6日、東京都江東区

そうした変化への適応を目指し、有力自動車メーカーは規模の利益を求めて経営統合や提携に踏み切っている。経営規模の小さい自動車企業を取り巻く環境は、不安定かつ厳しさを増している。

主要国の政府は、稼ぎ頭である自国の自動車産業の競争力引き上げを重視している。自動車産業のすそ野は広く、経済全体に与える影響は大きい。雇用、設備投資、環境など多くの分野での影響力は莫大だ。

長期の存続を目指すために、各国の自動車企業は体力をつけなければならない。今後も、グローバルで自動車業界の再編は続くだろう。その背景の一つとして、各国政府が運営する政策や新しい規格への対応がある。

主要国にとって、自動車産業は経済の安定と成長を支えるために重要だ。わが国の自動車産業は製造業出荷額の19%程度、設備投資の約22%、研究開発費の約25%を占める。自動車関連の就業人口は全体の8%程度に達する。