——そこから誕生したのが「しゅふJOBエグゼ」ですね。

はい。2012年に主婦向けに時短の正社員やハイキャリア派遣の仕事を斡旋する「しゅふJOBエグゼ」というサービスを始めました。当初はアシスタント業務を担う方が多かったのも事実です。しかし、10年前くらいから登録者の経歴がレベルアップしてきたのを感じていました。

撮影=プレジデントオンライン編集部

「しゅふJOBエグゼ」を通じて経歴に見合うお仕事を紹介できれば、その分お支払いできる給与も上がります。派遣の場合、立ち上げ当初の相場が1600~1700円だったのに対し、今は2300~2400円にまで上がっています。

中には、外資系企業で事業戦略を月次ベースで差異分析して、英文レポートを作成し本国へ送るという仕事をしている方もいます。その方の時給は7000円。昔だったら主婦が子育てしながらできる仕事といえば飲食店の接客などしか選択肢がありませんでしたが、今は積み上げてきたスキルを活かして働けるようになってきました。

広がり始めた時短という働き方

——時短ハイキャリア派遣や時短正社員という働き方が増えた要因は何でしょうか。

スキルや知識によって生産性を高められる仕事が増えたからだと思います。例えば、エクセルのマクロ機能。昔は手打ちで何時間もかかっていたものが、操作方法を身に着ければ作業時間を大幅に短縮できます。労働時間と生み出される価値が必ずしも正比例しなくなったからこそ、スキルを持った人が時短で働くことを受け入れられる時代になってきたのでしょう。

そうした変化を受けて、2018年1月には「しゅふJOBエグゼ」を「スマートキャリア」にブランド変更しました。

——反応はどうでしたか。

登録者だけでなく、企業からの反応も良く、受注が増えました。短い時間でも大きな成果をあげられる働き方が増えたことで、企業側に「時短での人材活用」に抵抗がなくなってきたことが後押ししたのだと思います。

特に採用が増えたのがIT業界です。成長産業にあって多くの人材を必要としているのに加えて、「能力さえあれば働く時間は関係ない」という柔軟な考えを持つ若い経営者が多いんです。

2019年からは「スマートキャリアexecutive」(2019年12月よりBIZ‐directors:ビズ・ディレクターズに名称変更)という、男性も含めたさらにプロフェッショナルなビジネスパーソン向けのサービスも始めました。大手企業の早期退職者の年齢が45歳くらいにまで下がっている中で、人生100年時代のセカンドキャリアとして活用していただくことを想定しています。