「利ザヤ」は本当に必要なのか

——人材派遣会社の仕事には「利ザヤをとっているだけだ」という印象をもつ人もいます。

人材派遣会社は、お客様である企業からもらう派遣料と、働き手にお支払いする時給の差額を収益にしています。それが「利ザヤ」と呼ばれるわけですね。しかし、人材派遣会社を利用することは、働く人にとってもメリットが多いと思います。

——どんなメリットでしょうか。

「利ザヤ」には給与計算や年末調整など、働く人へのサポートも含まれています。個人ではなかなか難しい派遣先との交渉も間に入ることもあります。

撮影=プレジデントオンライン編集部

世の中にはさまざまな会社があります。その中には法律違反を犯している企業も少なくありません。ハローワークが違法求人を受け付けない仕組みになってきたとはいえ、労働基準監督署もすべては精査できていません。私たちは斡旋先企業に足を運び、働く人が安心安全に働ける職場なのかをチェックしています。

有給休暇がちゃんと取得できるのか。ブラック企業じゃないか。当然、反社チェックもしています。働く人にコストを還元しています。だから私たちの収益は「不当な利ザヤ」ではなく、然るべきサービスコストだと思っています。

そもそも、「利ザヤ」と言われる理由は、時給の決め方を誤解されているからだと思っています。多くの方は、派遣会社は企業からお金を受け取り、そこからマージンを引いて働き手に渡していると考えていると思いますが、実際は逆です。

——どういうことですか。

労働市場の相場などと照らし合わせながら、「このくらいの時給であれば働く側にもメリットがあり、求人に応募してくれるだろう」という額を最初に設定し、そこに労務管理費や社会保険料、有給休暇費用、諸経費、そしてわずかな営業利益を上乗せしているという決め方をしています。2019年5月末現在、業界平均で営業利益1.2%という数字も出ています。

ただ、一部の悪徳業者がとにかく受注をとるために不当に低い派遣料を設定するようなことがあります。その中で利益を確保するために、本来の労働価値に見合わない低時給で人を集めるようなケースがあります。

ひどい場合には、そのような低い派遣料では利益が出ないからと、社会保険に入れない会社さえあるそうです。そのようなことが、「派遣会社はピンハネしている」という悪いイメージが業界全体に蔓延する原因となっているのでしょう。