立教大学の「付属校」である香蘭女学校が大躍進

図表を見ると、MARCH付属校すべての実施倍率が上昇していたことがわかる。当然、実質倍率が上がれば上がるほどその難度は高くなる。MARCH付属の「偏差値高騰」がいま起きているのだ。

図表内でも、2016年度1.5倍、2019年度3.6倍と実質倍率が跳ね上がった香蘭女学校(品川区旗の台)の躍進ぶりがひときわ目立つ。この学校は1学年定員160人の比較的規模の小さなミッションスクールだ。大きな魅力のひとつは、立教大学の「関係校推薦枠」が毎年80人あること。純粋な立教大学の付属校ではないが、事実上の付属校的存在。2021年度の立教大学入学生より推薦枠が97人に増員されることになっており、さらなる倍率の上昇が予想される。

同校は3年前の2016年度入試において、2月1日入試の4科(算・国・理・社)受験者は250人、4科合格者は166人(実質倍率1.5倍)だった。ところが、2019年度は入試回数を2回に分けた関係で2月1日入試の定員を減らしたにもかかわらず、4科受験者は364人に増加。そして、合格者は100人と実質倍率3.6倍となった。

かつては偏差値40台前半でも合格することがあったが、いまや偏差値55程度でも不合格になってしまう受験生が出てくるまでになった(偏差値数値は四谷大塚主催「合不合判定テスト」を用いている)。

付属校は「偏差値高騰」、いずれ元に戻る可能性がある

先ほど、付属校の偏差値が「高騰」していると書いた。普通は、物価や地価などに用いられる、ことば。付属校の現状を関して表現するのに「高騰」という語をあえて使ったのには理由がある。言いたいのはこういうことだ。

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いまは「大学入試改革の不明瞭さ」「大学入試の難化」という外的要因で難化しているが、大学入試が落ち着きを取り戻したら、MARCHの各大学の偏差値は下落する(というより、元に戻る)可能性が高いと見る予備校・塾関係者は多い。

今はその人気は沸騰しているが、それに付和雷同する前に一歩立ち止まってほしい。大学入試改革の混乱や大学合格者数抑制策により、今年度の中学受験でも大学付属校人気は確実だが、状況を冷静に見守る目も持つべきだと思う。

そのように言いたくなるのは、近年MARCH付属校に合格する子どもたちの顔ぶれを見ると、このままいけば、MARCHより上位に位置付けられる国公立大学や早慶大に現役で合格するのではないかという子が大勢含まれているように感じられるからだ。