この調査が正しければ、日本人の20代男性のうち5人に2人はいわゆる童貞ということになります。日本家族計画協会という名前からして、きっちりとした調査なのだろうと思ってしまうかもしれませんが、この調査結果はどうも怪しいところがあります。
回答率はわずか5%、未婚者が多く回答している
まず、インターネット調査であることからして、無作為抽出ではないことは明らかです。一般的な声とは異なるということは、この時点で言えるでしょう。しかも回答率はわずか5%で、なおかつ回答者は「このような調査にわざわざ回答する人」であることから、かなり偏りがあると考えていいでしょう。
おまけにこの調査では、都道府県ごとの人口数を考慮せずに同数をサンプルとしています。これは「注目されそうな都道府県」の調査などと全く同じ過ちを繰り返しています。
問題点を傍証するデータはいくつかあります。例えばこの調査における20代男性の未婚率は89.2%となっていますが、2010年国勢調査における未婚率は79.6%と約10ポイントも低くなっています。要は20代の中でも、未婚者のほうがより多く回答を行っているということです。既婚者は性交渉の経験があるでしょうから、この点だけを考慮しても経験がない男性の割合は、少なくとも数ポイント程度は減少するでしょう。
また、同じく日本家族計画協会が2年ごとに実施している「男女の生活と意識に関する調査結果」とも食い違いが見られます。この調査では無作為抽出による方法で対象者を選んでいて、回答率は42.4%となっています。若干回答率が低いところではありますが、厳密に無作為抽出を行っているので信頼に足る内容ではあります。
別の調査と見比べても矛盾がある
この調査で、いわゆる初体験をした人の割合が、30%、50%、70%を超える年齢についても調べています。男性で30%を超えるのは、いつの調査でも18歳ですが、50%に関しては、2004年以降は19歳だったのが2014年には20歳となっています。また、70%に関しては、2006年は21歳だったのが、2014年には24歳となっています。
確かに「奥手」の傾向が強まってはいそうですが、24歳の時点で異性との性交渉の経験がない男性は3割を切っていることになります。いずれにしてもこちらの調査のほうが、無作為抽出で行っているだけに信頼性ははるかに高いということは言えます。やはり20代で約4割というのは、現実の姿よりもかなり偏ったデータということになります。