どうして試してみないのか?

“ライフデザイン・インタビュー”のように人から話を聞いたり観察したりするのは有効ですが、遠回りに思えても何かを「やってみる」ことによって、決断をした後の自分に近づくことには、その手間に見合った価値があります。

たとえば、人生で何度もしないような買い物を考えてみてください。自動車や住宅などを購入するときはみな、試乗してみたり、モデルルームを繰り返し訪れてみたりします。それを人生の大きな決断では全くしないのは、ちょっとおかしなことだと思いませんか?

就職の場面ではどうでしょうか。最近では多くの企業が新卒採用時のインターンシップを行っており、そういった機会を活かすことはもちろん大切です。しかし、それだけで十分でしょうか。参加の人数枠は小さいし、業界や、そこで体験できる内容も限られています。より充実したプロトタイプ体験をし、将来ふり返ってみたときに納得のいく選択をするためには、自らそれ以上のアイデアを生み出さなくてはいけません。

ここに、デザイン思考が役立つ点があります。連想式にアイデアを出していくマインドマッピングや、ブレーンストーミングなど、より多くのアイデアを出すことにおいてデザイナーのやり方にまさるものはありません。しかもd.schoolには、正真正銘の実践で研鑽けんさんされた方法が蓄積されているのです。

人生の問題にかかわるアイデアの出し方から、決断をしたのち、いかにして前を向いて進み続けるかまで、その一連の過程を実践的に示すことによって、世界100大学で採用されるプログラムは出来あがっています。

人生を本気でデザインしよう

最後に、人生を本気でデザインしようと試みたとき、目標になるべき「うまくデザインされた人生」とはどのようなものでしょうか? その点について、プログラムの創設者である二人は、このように書いています。

わたしたちの葬儀でだれかが立ち上がり、「彼は文章力とコミュニケーション能力が抜群だった」とか、「対立する優先事項をうまく天秤てんびんにかけ、すばやく行動する能力を発揮した」とか言ってくれても、ぜんぜんうれしくない。人生の価値は給料や仕事の能力だけでは測れないからだ。
だれだって、自分がだれかに影響を与えたと知りたい。世の中に貢献する仕事をしたと知りたい。目的や生きがいをもって人生を生き、人生をおおいに謳歌できたと思いたい。
でも、それはあとから振り返ってはじめてわかること。なぜなら、理想のライフデザインとは、名詞ではなく動詞だからだ。

どのように過ごしていても、人生に必ず悩みや転機は訪れます。そのたびに現実と戦い、同じように苦労する必要はありません。そのたびに満足のいく選択を行い、決断を悔やむ必要のない問題解決の方針を身につけることが、「うまくデザインされた」人生を生きるためのコツと言えそうです。

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