――会社の先行きに危機感を持ったのはいつ頃からでしょうか?

【咲子】私は、いまの夫を紹介してくれた人がJALの地上職なので、夫が最初にいろいろ聞いてきて、「おい、退職金が出なくなるかもしれないらしいぞ」と言われて、危機感を感じて辞めたんです。

でも国に言われるまま赤字路線を飛んでいたわけですから、50代以上の人は『いざとなれば国が助けてくれる』と全く危機感はなかったですね。彼女たちの大半は、民営化する前の「半官半民」意識のまま。入社時は社員じゃなくて、「職員」と呼ばれていたそうですから。

【絵里子】08年のリーマンショック後ぐらいから、いよいよ赤字がどうにもならなくなってきて、フライト後のミーティングで毎回会社の状況説明があったんです。ステイ先のホテルはダウングレードだし、タクシーも時間制限ができるし、ああ、足元に火がついているんだって感じましたね。それでも、つぶれるとはまったく思っていなかった。

【麻衣】国の税金が入って会社を回しているのに、ストをしようとしたり、不当解雇を提訴してビラを配っている人ようなたちは未だに危機感がないと思います。

だって会社はもうつぶれているんですよ。私は夫が一族企業の役員ということもあって経営に興味があるので、「危機感のない人たち」の集団だなと思ってました。

【梨香】組合色の強い人は、今回特にリストラのターゲットになったみたいですね。現在も不当解雇だと訴訟を起こしている、CCU(キャビンクルーユニオン)に所属する方々は。

【絵里子】でも、年齢がいっていれば、どこの組合でも一緒みたいですよ。

私は会社の御用組合と言われているJALFIO(JAL労働組合)に所属してますけど、「雇用を守ってくれないんですか?」と聞きにいった同期は「それどころじゃない」って追い返されたとか。

(市来朋久=撮影)