日本のアパレル会社は服を大量廃棄している。大量生産しなければ、生産単価を下げられないと考えているからだ。だが和歌山県の島精機製作所は、そうした無駄を劇的に減らす機械を作った。『アパレルに革命を起こした男』(日経BP社)の著者・梶山寿子氏が、異能のメーカー・島精機の秘密を解説する——。(第2回/全2回)
島精機製作所 島正博会長。サステナビリティに対する取り組みを象徴するため本社に置いた北極グマの展示と(画像=『アパレルに革命を起こした男』)

定価では売れず、セールで残れば廃棄する

現在の国内のアパレル市場はおよそ9兆円と、バブル時の6割程度にまで縮小している。にもかかわらず、供給される商品の点数は、過去25年で倍増したという。

スケールメリットを得て生産単価を下げるため、人件費の安い国に、あえて大量に服を発注する——それが当たり前になっているため、こんな不合理なことが起きる。言ってみれば、捨てるために服をつくっているようなものである。

横編機の大手メーカー、島精機製作所の島正博会長は、こうした状況に苦言を呈する。

「量をつくりすぎるから、プロパー(正価販売)での消化率は50%程度。なかには30%くらいのところもあるんです」

結果として、セールで売りさばくことが常態化し、残りは廃棄することになる。日本ではアパレル不況が続いているが、こんなやり方では収益構造が悪化するのも当然だろう。