宇宙に行って実感するのは「地球」のことだった

彼らは宇宙から「地球」を見て、思索を巡らせ、また地球へと戻ってくる。地球の重力をクリアに感じ、空気や水の味を語る。

《地球で当たり前のことが宇宙にはないわけです。当たり前じゃないという環境にいって初めてわかることがある。本の中では書いていませんが、山崎直子さん(日本人女性2人目の宇宙飛行士。2010年に宇宙へ)が宇宙飛行士を描いた映画『ゼロ・グラビティ』(2013年)で、一番共感したのは地球に戻ってきた彼らが、重力を感じていることを示すシーンだったと語っていました。

宇宙に行って、実感するのはやっぱり「地球」のことなんです。だから、彼らは徹頭徹尾、地球について語っているわけです。

環境問題、資源、国境……。こうした問題に新しい気づきを得たと語る人も多いのですが、それも宇宙から地球を見たことで実感を込めて語れるようになるということだと思います。》

撮影=プレジデントオンライン編集部
ノンフィクションライターの稲泉連さん

宇宙に行ったビジネスパーソンが地球について、何を思うのか

今や、宇宙はビジネスパーソンが次に進出を狙う場所になっている。彼らが宇宙に行くことで、何か「地球」について新しい気づきを得ることができるのだろうか

《どのような意味があるのかは行ってみないとわからない、というのが正直なところですが、本の中でも「多くの人が行って、見てきてほしい」という宇宙飛行士がいました。

宇宙に行ったビジネスパーソンが地球について、何を思うのか、宇宙飛行士とは違う視点や意味を持つのか。あらためて聞いてみたいですね。》

かつてないほど、多くの情報が行き来する今の社会であっても、自分の視点を相対化できる機会は少ない。どれだけ情報に多く触れても、分かり得ないものは残る。宇宙飛行士の貴重な経験に耳を傾けることは、分かり得ないものを想像しながら、それでも彼らの実感をより理解しようとする試みである、と言えるだろう。

「地球」という視点から何を考えることができるのか。閉じずに、視野を広げて考えることの重要性に実感から迫る一冊がここにある。

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