かつて、一人っ子が増えてシックスポケット(両親と両方の祖父母合わせて6つの財布があること)という言葉が流行りましたが、親リッチな若者のシックスポケットは、それぞれが巨大です。そう考えるなら、親リッチな若者1人当たりの消費へのインパクトは、普通の若者の数倍にもなるでしょう。
結婚式も、家も、子育ても親が丸抱え
先に見たアンケートでは、「高額商品の購入時に費用を出してもらう」と回答した割合が、親リッチな若者に多かったのですが、高額商品とは例えば、どんなものを指すのでしょうか。
親リッチにインタビューしてみると、洋服や宝飾品といった贅沢品の購入だけでなく、結婚式、家や車の購入、子育てといったライフイベントを通じた消費を親や祖父母に依存していることがわかりました。
・車や家を買う時に両親に援助してもらいました。車はキャッシュで買いました。ローンを組むのは損だと思います。あとは指輪について、両親が亡くなった時に私と妹で喧嘩になるといけないからということで、姉妹2人に一つずつ同じものを買ってもらいました。(40代女性、専業主婦)
・私の親は、私の子どもが生まれた時のお祝いとして、ゆうちょにお金を入れて通帳ごとくれました。その後、子どもの進学など節目ごとにお祝いをもらっています。家を建てた時は、私の親と妻の親からそれぞれ1000万円ずつもらい、それを頭金にしました。(50代男性、会社員)
・夫の親は、私の子どもが生まれた時に「いちいち入学祝い、誕生日祝い、と言って渡すのは面倒くさいから100万円渡すわ」と言って、お祝いを一括でくれました。(50代女性、専業主婦)
「目に見えない支援」が親リッチの人生を支える
結婚式、子どもの誕生、家や車の購入、子どもの進学など、親リッチの人生の節目のイベントや高額商品の購入には必ず親や祖父母の金銭的な支援が付いています。親や祖父母としても、何かしらの名目があったほうがお金を渡しやすいのでしょう。
また、金銭的な支援を受けた親リッチが現金で家や車を買うことも注目されます。ローンを組まずに現金で家や車を購入する若い人の中には、少なからず親リッチが含まれると考えられます。
親リッチが受けているのは金銭的な支援だけではありません。裕福な親や祖父母が持つ人脈、経験、社会的な地位に由来する、非金銭的な「目に見えない支援」が親リッチの人生を支えています。お金持ちには多額の資産があるだけではなく、「富を生み出すエンジン」があります。