やがて中国に到来する成熟がもたらすインパクト

中国は今後とも大国であり続け、いずれアメリカを抜いて世界一になるのは間違いないでしょう。それでもマクロな経済成長は、いずれ鈍化していきます。人口が文字通りひとケタ違うので市場規模は比較になりませんが、日本やほかの先進諸国と同じように、成熟期を迎えることは間違いないのです。

現在の共産党政権が、いつまで続くのかはわかりません。それなりに無理がある政治制度だと思いますが、これまで矛盾をなんとか乗り越えて、一党独裁の下でこれだけの経済成長を達成しました。この現状は、30~40年前は誰も想像できなかった成功だろうと考えます。

大変な政治力であることは間違いないので、矛盾はあるにせよ、現在の政治体制は簡単には覆らないでしょう。しかし、いつか、そういう事態が訪れるかもしれません。となれば、日本の敗戦のようなインパクトがもたらされます。中国の経済は政治との距離が近いので、影響はさらに大きいはずです。

低成長期はアリババよりテンセントのほうが痛手が大きい?

そうなったとき、テンセントはどうなるのか。ミクロの産業レベルで見ると、小売りというリアルなオペレーションを事業主体とするアリババよりも、デジタルの分野に軸を置いているテンセントは、技術的に大きな変化や外的なイベントが起きた場合に、受けるショックがより大きいように思えます。

きっとこのままの調子で、行けるところまで行くのは間違いないでしょう。けれども、培ってきた事業の価値が、何か他のものに代替されてしまう事態に至ったとき、果たしてどうなるのか?

「どうにもならないだろう」というのが、私の答えです。オポチュニティの追い風に乗り、しかもそれを最大限にうまく捕まえて成長した企業が、基本的な経営方針を変えることは、ほぼ絶望的に難しいと考えるからです。