実際に「社員食堂で会社からの信頼を感じる」と話す社員がいる会社がある。
9月末、世界一魅力的な企業に選ばれたグーグルだ。
米国のグーグル本社の社員食堂は、世界中から集まった社員のために、各国の料理がすべて無料でふるまわれる。社員食堂専用の牧場から、最近では養蜂場まで始めたというからケタはずれだ。市街地から離れた場所に社屋がある米国の大手IT企業は、社内の飲食設備を充実させている。いわばシリコンバレースタイルといえるものだが、グルメなことではグーグルは別格だろう。
日本法人は今年8月、六本木ヒルズ森タワーに移転。ビルの27階に、広さ400平方メートル、東京の景色を一望できるゴージャスなカフェテリア「Yedo(江戸)cafe」をオープンした。メイン料理は2種類の肉料理と魚料理、ベジタリアン用の4種類から選択できる。主食は白米と雑穀米のほか、日替わりのカレーライスと丼、パスタ。特に豪華なのがサラダバーで、10種類以上の生野菜のほか、和えもの、チーズ、コールドミートまで幅広いラインナップ。
これまでとは発想の違う新しいインターネット閲覧用のブラウザ、グーグルクロームの開発に携わったシニアエンジニアリングマネージャー、及川卓也さんも移転以来、昼食は必ず社員食堂で食べるようになったという。
「僕らのリクエストに対する食堂のレスポンスが早いのもうれしい。ブルーチーズドレッシングが欲しいと頼んだら、翌日には入っていました。入れてみて、利用者の反応を見てレギュラーメニュー化する。『まず行動し、問題が出たら、修正しながら前進する』といった考え方はグーグルの仕事の進め方でもあります。僕ら社員も食堂づくりに積極的に関わっているような空気がありますよ」