先行する有力プラットフォーマーを追いかける統合会社

ZHDとLINEは、現在の経営体制で世界的テクノロジー開発競争などに対応することに危機感を強めてきた。今回、経営統合によって両社は経営基盤を一段と強固にし、より効率的に経営資源を活用することなどを通して、世界的なテックカンパニーを目指そうとしている。

その背景には、米中のIT先端企業が急成長を遂げ、世界各国でシェアを高めてきたことが大きく影響している。かんたんにいえば、グーグルなど世界の有力IT企業による寡占化が進んでいるからだ。

米GAFAや中国のアリババなどは、新しいサービスやデバイスを積極的に投入してユーザーを増やしている。それは収益の拡大に加え、データの収集・分析のためにも重要だ。事業規模の大小が、企業の存続に無視できない影響を与えている。

最近、当該分野での競争は一段と激しさを増しており、すでにフィンテック(金融と先端テクノロジーを融合させたビジネス)の一部では、米国よりも中国の企業に優位性があると指摘する専門家もいる。

秒進分歩の勢いで進む先端テクノロジーの研究開発

一方、米国のグーグルは量子コンピューターを用いて、最先端スーパーコンピューターをはるかに上回る速さで複雑な計算問題を解くことに成功したと発表した。量子コンピューターの研究開発の進捗は、医療、金融、さらに高度な人工知能開発など、実に多くの分野に影響を与えることになるだろう。

まさに、秒進分歩の勢いで人工知能をはじめとする先端テクノロジーの研究開発が進んでいる。ダイナミックな変化に対応し、成果を目指すには、強固な経営基盤が欠かせない。

そうした先進企業の時価総額を見ると、米アップルは約128兆円、アルファベット(グーグルの親会社)は約100兆円、アマゾンは約94兆円、フェイスブック、中国のアリババやテンセントなどの時価総額も40兆円を超える。

また、2018年の研究開発費は、アマゾンが約3兆2000億円、アップルは約1兆6000億円に達した。2020年までの3年間で中国のアリババは1兆7000億円程度を研究開発に投じ、量子コンピューターや半導体開発に取り組んでいる。