日本全国の店舗が安値を競うネット通販より、池袋の店が安い理由は販売価格を隠している点にある。ほとんどの値札には「他店より値下げします」という注意書きが貼られていて、店員に問い合わせなければ実際の価格はわからない。競合店と不毛な値下げ合戦をしないために、こっそりと安く売っているのだ。実際、価格交渉に臨み、「競合店はおたくより安い」と知らせると、さらなる値引きを提示された。当初の提示価格がほかの地区より安く、さらなる値引きにも積極的――。今回の調査では特に池袋地区で顕著だった。

第三の理由として、薄型テレビの性能が一段落を迎えたことが挙げられる。飛躍的な性能向上が図られた結果、スーパーなどで販売されるプライベートブランド(PB)の格安テレビでも、用途に応じては必要十分な性能をもつようになっている。

たとえばイオンでは韓国ダイナコネクティブ製の32型液晶を4万9800円で、西友ではバイ・デザイン製の42型液晶を9万9000円で発売している。PBテレビが出てきた背景をAVライターの武者良太氏は「旧型の部材を使っても十分な機能が提供できるようになったからだ」と説明する。

「PBテレビは大手メーカーの廉価品よりもさらに旧型の部材を使うことでコストダウンを図っています。その分、最新機種に比べると色再現範囲が狭かったり、コマ数を増やして残像を軽減する『倍速表示』に非対応だったりします。ニュースやバラエティ番組の視聴であれば十分な性能がありますが、映画やスポーツで迫力のある映像を楽しみたいという人にとっては不満が残るかもしれません」(武者氏)

内閣府の消費動向調査によればテレビの使用年数は平均で9年。寿命の長い家電だ。価格だけではなく、どんな用途で使うのかを吟味したうえで選ぶのが、長い目で見たときに最も「お得」だといえるだろう。

※すべて雑誌掲載当時