すると、サウナに入らなかった日の夜は、脳や身体の疲労を回復させる深い睡眠の割合が全体の14%程度だったのに対し、サウナに入った日の夜は約28%と、全体に占める深い睡眠の割合が2倍近くになっていた。すなわち、サウナに入った日のほうが睡眠の質が改善し、ぐっすり眠れていたのである。(図表1)

理想的な睡眠時間が約8時間程度であるのに対し、働きざかりの40代日本人の半数前後は毎日6時間未満しか眠れていないというが、サウナで睡眠の質を高めることができれば、忙しい生活の中でも身体のコンディションをより良い状態に持っていくことができるだろう。

自律神経が鍛えられ、メンタルが安定する

サウナでは交感神経、水風呂でも交感神経が優位になり、外気浴で一気に副交感神経が優位になることによって「ととのう」という状態に導かれるということは、先ほど書いたとおりだが、これはメンタルの安定という意味でもとても効果的である。

そもそもこの交感神経や副交感神経とは、自律神経と呼ばれる、血液や臓器のはたらきを司る神経系のことであり、交感神経とは日中優位になる緊張モードの神経、副交感神経とは夜間や休憩時に優位になるリラックスモードの神経のことだ。

私たちは毎日この交感神経と副交感神経を昼と夜で切り替えながら生きているわけだが、このバランスが不規則な生活やストレスによって崩れてしまうと、身体の不調を感じたり、自律神経失調症やうつ病といった疾患に至ったりする。

こうした疾患にかかる患者数は年々増えているようで、これは現代人がいかにストレスの多い社会に生きているか、また自律神経を鍛える必要が高まっているかの表れとも言えるだろう。

熱いサウナ、冷たい水風呂と外気浴での休憩というサイクルを繰り返すと、日常生活ではなかなか自分の意思で切り替えにくい交感神経と副交感神経のスイッチングが繰り返され、自律神経の働きが鍛えられる。

イライラしたり、落ち込んだりすることも減り、穏やかで安定したメンタルを手に入れられるようになるのだ。