このプログラムはスキルを教えるとともに、技術チームのサービスを有料で提供しており、マイクロソフトやIBMといった一流のIT企業が同社のサービスを採用してきた。アンデラ社は、海外にいる科学技術者という、将来莫大な数に増える労働力のほんの一部を提供しているにすぎないが、すでにマーク・ザッカーバーグとグーグル・ベンチャーズが関心を寄せており、2016年には両者からおよそ2400万ドルが出資された。

「世界で最も才能ある人々」を輩出するプログラム

いま、テクノロジーの最前線にいる人材を輩出した大学を見渡すと、スタンフォード大学のある学部が目につく。

「シンボリック・システムズ」という専攻課程で、コンピューターのクラスと哲学、論理学、言語学、心理学のクラスを統合し、従来の文系理系が隔離された図式とは異なる形で研究を進める体制だ。マーク・ザッカーバーグは、このプログラムが「世界で最も才能ある人々」を輩出してきたことを認めている。

ここから、リンクトインの創業者リード・ホフマン、インスタグラムの共同創業者マイク・クリーガー、iPhoneとiPadのソフトウェアを開発したスコット・フォーストール、そしてグーグル初期の経営陣の一人で、ヤフーの元CEOだったマリッサ・メイヤーなど、そうそうたる顔ぶれの卒業生を輩出した。

大学で学ばなくても「遅すぎる」わけではない

「機械オタク」集団の職業はますます切り詰められていくだろうが、大学で学ばないと遅いわけではない。学び直す機会はいつでもある。

わずか1年で1800万ドルの資金調達した注目のベンチャー企業は、あるエンジニアがPCの画面から離れてアフリカで暮らしたことがきっかけで誕生した。アイデアは、人類学のフィールドワークの手法を用いることで見えてきた。

そのエンジニアが、低所得者層向けにスマートフォン購入などの金利サービスを提供するベンチャー企業「ペイジョイ」の共同創業者でCEOのダグ・リケットだ。以前はグーグルのソフトウェア・エンジニアで、マーク・ヘイネンとチームを組んで同社を起業した。ヘイネンはアマースト大学で歴史と移民研究を専攻した文系人間だ。二人はグーグルマップのチームで出会い、アフリカの地図製作で協力した仲間だった。