国連の核兵器禁止条約の批准を拒否し、核兵器であっても、自衛のための必要最小限にとどまれば、保有することは憲法の禁止するところではないという考えを持っている安倍首相への、痛烈な批判と見るのは穿ち過ぎだろうか。
新天皇皇后に就いたばかりの2人に、このようなはっきりした考えを述べることを求めるのは酷だと考え、パレード中止の件も、美智子上皇后からいい出したのではないか。
天皇陛下といえども、上皇と上皇后から見ればまだ若い自分の息子である。こういうときはこうされたがよくてよと、助言を与えるのはどこの親でもやることだ。それを「二重権威」だなどと、目くじらを立てる必要はない。
上皇上皇后の意志は間違いなく引き継がれている
「即位礼正殿の儀」には、2人の女性が招かれていた。
2018年の沖縄全戦没者追悼式で「平和の詩」を朗読した中学生・相良倫子(現在は高校生)と、ノーベル平和賞授賞式で被爆者として初めてスピーチを行ったサーロー節子である。
相良は追悼式で力強くこう述べた。
「私は手を強く握り、誓う。奪われた命に想いを馳せて、心から、誓う。
私が生きている限り、こんなにもたくさんの命を犠牲にした戦争を、絶対に許さないことを。もう二度と過去を未来にしないこと。全ての人間が、国境を越え、人種を越え、宗教を越え、あらゆる利害を越えて、平和である世界を目指すこと。生きる事、命を大切にできることを、誰からも侵されない世界を創ること。平和を創造する努力を、厭わないことを」
私が生きている限り、こんなにもたくさんの命を犠牲にした戦争を、絶対に許さないことを。もう二度と過去を未来にしないこと。全ての人間が、国境を越え、人種を越え、宗教を越え、あらゆる利害を越えて、平和である世界を目指すこと。生きる事、命を大切にできることを、誰からも侵されない世界を創ること。平和を創造する努力を、厭わないことを」
サーロー節子はICANに長年携わり、核兵器の恐ろしさを訴えてきた。
この2人を官邸が招くわけはない。天皇サイドの要望だったといわれているようだ。
だとすれば、上皇上皇后の意志は間違いなく天皇皇后に引き継がれている。そう考えていいのではないか。
心配の種は他にあるように思う。
雅子さん人気が高まるにしたがって、娘の愛子さんを天皇にという声も、今以上に高まっていくに違いない。
現在、愛子天皇を支持する割合は7割から8割といわれる。男系女性天皇はこれまで何人もいるから、女性天皇を嫌がっているといわれる安倍首相が退けば、愛子さんが天皇になる可能性は十分あると思う。
だが、そうなると、秋篠宮家の長男・悠仁さんが天皇に即位するのはだいぶ後になる。