安倍首相のやり方を批判すると思われる文書も公表
新潮やセブンは、こうした事態が続けば、御代替わりを迎えた意義が薄れ、天皇陛下と皇后、上皇と上皇后という「二重権威」が鎌首をもたげるような事態になるのではないかと心配する。
要らぬ心配だと、私は思う。今回もそうだが、美智子上皇后は、困っている人たちに寄り添う、世界が平和であるようにという想いが大変強い方である。
これまでも、被災地へいち早く赴き、被災した人たちを励ましてきた。沖縄へ何度も行かれ、悲惨な戦争の犠牲になった人たちの慰霊の旅を続けてきた。憲法を改悪して戦争のできる国を目指す安倍首相のやり方を批判すると思われる文書も公表してきている。
2017年のご自身の誕生日に、宮内庁記者からの質問に答える形で、カズオ・イシグロのノーベル文学賞、「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」が平和賞を受賞したことに触れ、とりわけICANについてはこう語っていた。
「平和賞は、核兵器廃絶国際キャンペーン『ICAN』が受賞しました。核兵器の問題に関し、日本の立場は複雑ですが、本当に長いながい年月にわたる広島、長崎の被爆者たちの努力により、核兵器の非人道性、ひと度使用された場合の恐るべき結果等にようやく世界の目が向けられたことには大きな意義があったと思います。そして、それと共に、日本の被爆者の心が、決して戦いの連鎖を作る『報復』にではなく、常に将来の平和の希求へと向けられてきたことに、世界の目が注がれることを願っています」(LITERA・2017.10.22より)
子どもに助言を与えるのはどこの親でもやること
さらにこの文書では、中満泉が日本人女性として初めての国連事務次長で、国連軍縮担当のトップである軍縮担当事務次長・上級代表に就任したことについてもこう語っている。
「『軍縮』という言葉が、最初随分遠い所のものに感じられたのですが、就任以来中満さんが語られていることから、軍縮とは予防のことでもあり、軍縮を狭い意味に閉じ込めず、経済、社会、環境など、もっと統合的視野のうちにとらえ、例えば地域の持続的経済発展を助けることで、そこで起こり得る紛争を回避することも『軍縮』の業務の一部であることを教えられ、今後この分野にも関心を寄せていく上での助けになると嬉しく思いました。国連難民高等弁務官であった緒方貞子さんの下で、既に多くの現場経験を積まれている中満さんが、これからのお仕事を元気に務めていかれるよう祈っております」(同)