ダメージが大きいのは安倍首相よりも菅官房長官
菅原一秀経済産業大臣が10月25日、安倍晋三首相に辞表を提出した。公設秘書が支援者の通夜で香典を渡したことで公職選挙法違反が指摘されたのを受けた引責辞任だ。
第4次安倍再改造内閣の発足から1カ月あまりでの閣僚辞任は、安倍政権にとっては打撃となる。ただし、ダメージを負ったのは安倍首相だけではない。菅原氏の後見人だった菅義偉官房長官のほうが、はるかにダメージは大きい。「菅原辞任劇」は、菅氏の今後の政治人生にも影響を及ぼしかねない。
メロン、カニ、香典をせっせと配る「日本のタマネギ男」
「ただいま、安倍総理に辞表を提出してまいりました。私の問題に関して国会が停滞するということは、私の本意ではありません。懸案山積にも関わらず職を辞するのは慚愧に堪えない」
25日朝、国会内で菅原氏は記者団にこう語った。
菅原大臣をめぐっては、地元有権者へのメロンやカニなどの贈答、そして支援者の葬儀に秘書が香典を持参していたことを「週刊文春」が報じていた。疑惑が次々と出てくることから、韓国で法相辞任に追い込まれた曺国氏に擬せられ「日本のタマネギ男」などと呼ばれていた。
菅原氏は24日深夜まで25日の衆院経済産業委員会で答弁に立つ準備をしていた。親しい同僚議員に「明日はきちんと説明する」と語っている。
わずか半日あまりでの状況の変化。菅原氏は「一晩考えたが、今朝、自ら決意した」と説明する。しかし、辞任発表からわずか数十分で後任の経済産業相に梶山弘志氏が就任することが発表されたことを考えると、首相官邸側が背後で外堀を埋めた、事実上の更迭劇だったと考えるのが自然だ。