新電力への切り替え、どこまで進むのか
富士経済は2019年8月22日、電力・ガス自由化市場に関する調査結果を発表した。2018年度の新電力の見込み販売量は前年度比20%増の1,225億kWhで、電力市場全体でのシェアは15%ほどに達している。新電力は、東京電力エナジーパートナーなどの旧一般電気事業者10社を除いた小売電気事業者が提供している電力のことを指す。
新電力にはガス、通信、金融、省エネサービス、再生可能エネルギー関連などの企業が参入しており、発電方法も石炭、LNG火力、太陽光などさまざまだ。また自らは発電する手段を持たず、他の事業者からの卸売や市場取引によって電源を調達する事業者も増えている。
富士経済東京マーケティング本部の津金春樹氏は「16年度以降、事業者の増加や電力自由化の認知度向上などにより、新電力の販売量が増えています」と語る。ただ、家庭用を中心とした低圧で新電力がシェアを伸ばしている一方で、企業施設などが利用する高圧市場では、「旧一般電気事業者が、新電力では太刀打ちできない価格を提案してシェアを再獲得しています。低圧でシェアを失って余った分の電源を、高圧市場に展開している」と津金氏。
新規事業者がどこまで食い込めるのか注目だ。
(図版作成=大橋昭一)